精油を語る(10)アニスシードマートル
精油を語るシリーズも10回目。後半に入って難しい精油が残ってしまいました。この中でも情報量の少なさから最難関と言えるのが今回ご紹介する「アニスシードマートル」ではないかと思います。
アニスシードマートルはその名前の通り、アニスシードオイルと成分や香りがとても似たオイルが抽出される樹木です。オーストラリア東海岸の亜熱帯雨林の中でも極めて限られた地域にのみ自生しており、自生域はレモンマートルとも重なります。
精油についてですが、手元にあるアニスシードオイルの主成分の場合で成分解析ではトランス-アネトールという成分が92%、エストラゴールという成分が2.5%で全体の94.5%を占めているのに対して、アニスシードマートルの成分構成はトランス-アネトールが85.6%、エストラゴールが9.5%で合計95.1%(2011年産のAA-026の例)となっています。つまりオイルの主要部分と言いますか、ほとんどの部分がバランスが少し異なるものの、これらがほぼ同じだという事になります。
アニスシードの香りはリコリッシュなどで食用として親しまれているため、オーストラリアでアニスシードマートルの香りを紹介するときまって「ああ、リコリッシュの香りがする」という返事が返ってきます。それほどにオーストラリアやヨーロッパ各国では親しまれている香りなのですが、日本では人気がないため、あまり香りに触れる機会もないかと思います。
また、アニスシードの香りは強くクセがあるため、比較的好き嫌いがハッキリする香りの一つと言えるかと思います。私自身も個人的にはアニスシードの香りは苦手。しかしアニスシードマートルの場合、その苦手意識が大きく弱まります。その理由はアニスシードオイルには草が持つ独特の青い香りがあるのに対して、樹木から抽出されたアニスシードマートルオイルにはこの「草の香り」がないからです。香りは似ているものの、苦手意識の中でこの違いは結構大きいかと思います。そういえばレモングラスの香りも苦手で敬遠していたのですが、この理由も草の香りでした。
ところでアニスシードマートルの精油には強い鎮静効果があります。試しに兄弟げんかで怒って泣いていた自身の子供(当時6歳)に香りを嗅がせたところ、みるみる表情が変化し、落ち着いたのには驚きました。ブレンドに少量を加えて屋内に拡散し、精神のいらだちを抑制する鎮静効果を期待する使い方も有効かもしれません。
▽アニスシードマートルオイルのページ
http://www.teatree.jp/TTF/aniseed-myrtle_product.htm
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