ティーツリーオイルには強い抗菌効果があることは広く知られていますが、カンジダ菌を使った2006年にヨーロッパの研究者により発表された研究論文がありましたのでご紹介したいと思います。
▽論文の原文
In vivo activity of terpinen-4-ol, the main bioactive component of Melaleuca alternifolia Cheel (tea tree) oil against azole-susceptible and -resistant human pathogenic Candida species
この研究・実験ではカンジダ菌に対するティーツリーオイル、及びその主成分となるテルピネン4オールを97%以上に濃縮したもの(ティーツリーオイル・エクストラクトに相当)の抗菌効果を他の抗真菌薬(フルコナゾールとイトラコナゾール 共に抗真菌薬)と比較する形で検証しています。
抗菌効果、つまりその菌の増殖を抑制する効果(菌を死滅させる殺菌ではない)はMIC(Minimum Inhibitory Concentration :最小発育阻止濃度)と呼ばれる数値で表されます。これはどれだけの濃度でその菌の増殖を抑制できるかを現しており、数値が小さいほど低濃度で優れた抗菌力が得られることを示しています。なお、ここで取り上げている数値はMIC90(集団を構成する90%の菌株の発育を阻止する抗菌濃度)です。論文ではほかにMIC50(50%の菌株の発育を阻止)の数値も公表されています。
※MICについては一般に分かりやすい形での解釈で記述
今回の実験で用いられたカンジダ菌(Candida albicans)の場合、以下のような数値になりました。
※論文中ではティーツリーオイル・エクストラクトではなくterpinen-4-olと記述されています。
MIC90(集団を構成する90%の菌株の発育を阻止する抗菌濃度)
<実験対象:通常のカンジダ菌>
フルコナゾール 0.25
イトラコナゾール 0.03
ティーツリーオイル 0.25
ティーツリーオイル・エクストラクト 0.06
<実験対象:薬剤に耐性のあるカンジダ菌>
フルコナゾール 64.0
イトラコナゾール 4.0
ティーツリーオイル 0.5
ティーツリーオイル・エクストラクト 0.06
実験の結果より、通常のカンジダ菌の場合においてティーツリーオイルは抗真菌薬と同等の抗菌効果があることがあきらかになりました。そしてさらにティーツリーオイル・エクストラクトの場合、ティーツリーの4倍以上の強い抗菌効果があることが数値より読み取れます。
また抗真菌薬に対して耐性のあるカンジダ菌に対してもティーツリー、およびティーツリーオイル・エクストラクトは十分な抗菌効果を維持していることが証明されました。
今回のこの論文ではティーツリーオイルのカンジダ菌に対する高い抗菌効果が証明されましたが、それと同時にティーツリーオイルの抗菌成分を濃縮したティーツリーオイル・エクストラクトがティーツリーに対してさらに高い抗菌効果を有していることがよく分かる結果となりましたので、本ブログでご紹介をさせていただきました。
なお、抗菌エッセンシャルオイル『メディフレグランス』も今回の実験で使用されているティーツリーオイル・エクストラクト(テルピネン4オール)を主成分に構成されています。
<関連リンク>
ティーツリーオイル・エクストラクト
抗菌用エッセンシャル『メディフレグランス』